重量過多を回避する

ロボットを作るからには高機動でぶいぶい言わせたい!
でも、部品をあれこれ搭載しているうちに重量過多でしょっちゅう面倒なことに…

今回はそんな問題に設計時から直面していたalduinoの軽量化に関して紹介したいと思います。ちなみに今回は長文です。書くほどのことでもなく、よく知られた内容しかでてきませんけどね。なお、alduinoがどんな機体かは過去の記事に書いております…

alduinoは二本足で歩く機構、逆関節により背丈に対して脚が長いこと、モータ数が多く(22個)、モータが貧弱(脚のDCギヤドモータの停動トルクが13kgf/cm(ギアボックスの定格トルクはなんと2kgf/cm)、足先を除くサーボの最大トルクが7kgf/cm)であったことから、機体の軽量化がロボット全体としてデザインの次に優先の課題となりました。また、重いガワはメンテナンスが大変であるということを過去の機体から経験しているので、その意味でも軽量化は非常に重要な要素となります。今回の機体はモータ全重量が1.3kg、回路基板を除く本体全体で1.9kg、基板と電池、カメラを装備して2.3kgとなっており、T-semiのInRoF出場機体の中では比較的軽い部類に入ります。この軽量化のために意識したガワに関する項目は以下の4つです。
1.機体サイズの小型化
2.機構の単純化
3.フレームパーツの軽量化
4.配線長の最短化

1つ目はすべてのものに対して言えます。機体が大きければ機体負荷(重量や可動部のトルク等)が全体として大きくなり、それに耐えるための重いフレームを使うはめになり、それらを動かすために重くて大きなモータを使わざるを得ないといった、問題をどんどん助長する構造となります。DCモータのパワー重量比は大型なものほどほど悪くなるといわれているので、小型なものほど有利です。
かといってあまり小さければモータや回路の配置ができなくなったりそもそも競技に支障が出る(ボールがとれない等)といった問題があるので、モータがなんとか収まるサイズで設計を行いました。

2つ目も1つ目同様です。複雑な機構は重量を増加させます。現にモータ2個をリンク機構で脚に繋げて移動を行っていた私の前作(02-Alicia/chn)とモータ11個が脚につながっているalduinoでは脚部分の重量はほとんど変わっていません(但しサイズの都合も多分にある)。歩行ロボットは本来重心に近い位置に重量が集中していたほうがよいとされるため、腰あたりにモータを集中させてリンクやベルトで脚に動力を伝達することも考えていましたが、全体としての重量がかさむためほとんどのモータは出力軸を関節軸そのものとして使用しています(サーボの塊となっているホビー用の脚ロボットはほとんどこの形式だと思います)。これにより関節の機構が最低限ですむため機体の軽量化が進みます。

3つ目は、いわば肉抜きです。
以下の写真は機体の脚先ですが、アルミフレームの、モータのギアボックスが接続されている位置には穴がいくつかあいていたり、妙に細くなっていたりします。これはギアボックスが十分に強度があるという前提のもと、ギアボックスにフレームとしての役割を持ってもらおうというセミストレスマウント的な発想によるものです。(ロボットサーボはこうした使われ方を想定して設計されているはずですが、こちらはどうなんでしょうね?) また、ギアボックスを加工しフィードバック用のボリュームを取り付けるための金具もギアボックスに直接加工して取り付けてあります。こうすることで必要なアルミフレームの量が減ります。

次の写真は、機体のももの付け根です。若干見ずらいですが、厚みのある部品を薄くしたり(薄くするという発想は材料力学を知っている人からは嫌がられるようです)不要な部分を削り取ることで軽くしたり、また曲げ加工により部品数を可能な限り削減した部品が可能な限り高密度に実装されています。部品点数が少ないということは、材料的につながった(つなぎ目がない)部品が相対的に増えるということですから、強度に対する重量を抑えることができます。

4つ目は、見落としがちですが重要な項目です。電気配線はガワのいたるところに張り巡らされ、対策をとらないとモノによっては見た目が残念なことになる上、場合によっては可動部や角でケーブルが摩耗します。その結果、断線したりガワそのものが回路の一部になる等の電気的な障害が生じたり、最悪の場合は火を吹くので気をつけなければいけません。alduinoのようにモータが多いと配線自体が多くなるため、これをいかにコンパクトかつ安全にまとめるかが重要となります。

以下の写真では、ギアボックス内部に配線が入り込んでいます。一 応ケーブルとギアボックスはホットボンドによる固定が行われており、ギアと配線が干渉しないことを確認してあります。なお、ギアボックスは樹脂製のため、DCモータの熱もそこまでホットボンドまでは伝わってこない…はず。固 定 が し っ か り し て い れ ば この中の配線は全く動かないため安全です。また、こうすることでギアボックスのスペースを可能な限りつめられることや、ギアボックスを迂回することによる配線長の増加を防ぐことができます。

ガワに関する軽量化はこのようなことを意識しました。簡単でしょ?

もっと本気で軽量化したければ、材料力学や構造力学等を学んだり、削りだし等による可能な限りの一体成型や、キットを買うなどしてもっとお金をかける(alduinoでかかった金額はおおよそPS3が1台分くらい)、そもそもデザインの根本を見直すなどの考えが浮かびますがこれらは厳しいので断念しました。
一体成型については、モータのギアボックス(サーボボックスそれ自体)がフレームと一体成型された機体で、モータの数が同じくらいでありながら全重量が1.1kgくらいまで軽くなっている例を聞いたことがあります。

回路に関しては表面実装、多層プリント基板、最適な半田の量、などなど軽量化の余地は多々あるのですが技術と時間、資金の都合でなかなかきついのが現状です。
ただ、高密度化することで配線長や基板の数を減らす、基板間のケーブルを可能な限り短くする等によって軽量化を図っています。使用する電源電圧が統一されれば電圧変換が不要になるため軽量化がさらに進むのですが、デザインの都合でやむなく違う電圧のモータを使っている個所があるのでしかたない。
回路に関してはさらなる高密度化を行う予定で、目標としては回路1枚にすべての機能を収めたいと考えています。

さて、いろいろ軽量化について書いてきましたが、私は実は大きく重いメカのほうが好きです。アトムやロックマンよりACやレイバーの方が好きなもんでして

NR

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