スラマッマラムー N.C.です。
前回の続きです。
今回の測定では、以前に先輩から格安で買ったオシロをメインに使いました。
このオシロは、二つのチャンネル間の電圧の差を計算するだけでなく、それを保存し、保存した波形を表示したまま新たに観測中の波形を表示できるため、電流検出用抵抗の両端の電位差の波形を保存して、それに重ねてVGSやVDSを表示するという芸当ができます。
また、実験回路の電流検知用抵抗を0.1Ωから0.47Ωに変更しました。ちなみに実験中、ツェナーダイオードを殺してしまったようなので、交換しました。その時知りましたが、ツェナーダイオードって壊れると絶縁状態になるんですね。おかげで助かりました。
そんなわけで、測定を行いました。
1, まずは、スイッチング波形です。ドレイン電流ID=0.68Aにおける、全体の波形、ON時の波形、OFF時の波形です。
ON時はIDの変化がVDSの変化よりも先で、(IDが増加し始めたときのVGSは閾値電圧になる)
OFF時もIDの変化がVDSの変化より先であることが分かります。
数値などはペイントソフトで編集して記入しました。図の上部の数字は、各領域の時間です。
ON時とOFF時で、少し閾値電圧が違うように見えます。ゲート電流はかなり小さいからFET内部のゲート抵抗による電圧のずれとは思えません。
ミラー電圧が違うのはON時とOFF時で少しIDが違ってしまったためと考えられますが、閾値電圧そのものの変化の原因はなんでしょうか。
温度変化も考えられますが、閾値電圧は温度が上がるほど小さくなるはずなので説明が付きません。結局よくわかりません。測定の誤りでしょうか。
ON時からOFF時にかけての各領域の時間を上の図2から3に登場する順にt1,t2,t3,t4,t5,t6とするとします。データシートのQg特性のグラフからID=0.68A、VDD=12VにおけるQg特性を予測し(そのときのミラー電圧についてはこの下を参照)、それをもとに計算した最悪値は
t1=0.80us
t2=0.67us
t3=3.21us
t4=15.8us
t5=10.9us
t6=3.73us
です。ON時はよいのですが、OFF時は、最悪値のはずの数値の方が実測値よりも小さくなってしまいました。何か、誤りがあるのでしょうか。
しかし、そこまで深刻なずれではないので、スイッチング損失の計算には影響はないと思いたいです。
2, ミラー電圧も何通りか測りました。ドレイン電流IDとミラー電圧Vmillerの対応は以下の通りでした。
0.20A, 2.08V
0.39A, 2.40V
0.51A, 2.48V
0.60A, 2.56V
0.68A, 2.64V
この結果から概ね、Vmiller = 1.44+1.47√IDとなっていて、√IDに比例することが確認できました。
ちなみに、データシートのQg特性は閾値電圧が最大のものについて書かれているため、2SK2962の場合、2.0Vです。また、ミラー電圧をグラフから直接読み取れると3.8V、ID=1Aなので、Vmiller=2.0+1.8√IDとなります。先ほどのVmillerの式よりも常に大きくなります。