フライス盤のメンテナンス

こんにちは。2017年度のガワ室長となりました、いせのむれでございます。

フライス盤の調子が良くないなーと思っていたらNHKロボコン作業中にY軸のガタツキが顕著になってしまいました。放置しておくと事故や精度の低下を招くだろうということで先日フライス盤のメンテナンスを行いました。

今回の記事は今後フライス盤のメンテナンスを行うときに少しでも役に立つことを祈って書いています。(主に内部向けです)執筆者は専門的な知識や経験を持っているわけでもないため、ネット上の先人様の記事や先輩の経験談などを参考に試行錯誤した結果を記しただけなので間違いがあるかもしれません。ご容赦ください。

フライス盤

今回メンテナンスしたのはサカイマシンツール 卓上小型高速フライス盤 MM250S3です。前回調子が悪くなって修理を行ったのが2年ほど前とのことでした。

まずテーブルにネジ止めされているバイスを取り外します。ボルトを回せば左に抜き取ることが出来ます。バイス取り外し後 1.X軸テーブルの取り外し

各軸テーブルの側面にはジブ調整ネジが付いています。これを緩め、取り外します。この時イモネジには緩み防止のナットが付いているのでナットを緩めてからイモネジを回す必要があります。(T-semiのフライス盤は六角穴付きボルトで代用している箇所もあります)

ジブ

次にステージ裏側についているストッパーのネジを外します。このネジを外すことでハンドルを回して右端に送ることでX軸ステージを引き抜くことができるようになります。

ストッパー

この時、ステージが非常に重いため注意しないと危険です。(台形ねじやステージの破損、怪我の危険があります)

2.Y軸ステージの取り外し

Y軸

Y軸に関してはジフ調整ネジを外すところまでは同じなのですが、構造上ストッパーのネジを外すことが出来ません。その為X軸のようには取り外すことが出来ません。そこでまず台形ねじ軸受をはずし、台形ねじを回し抜きます。(下の写真の六角穴付きボルトで固定されているものが軸受)軸受

次に調整ネジを外すことで動くようになったジフを引き抜き、隙間を作ります。(このフライスでは右側)隙間ができたことによってステージを持ち上げることができるようになるので、持ち上げつつ手前に引き出すことでY軸ステージを外すことが出来ます。

3.台形ナットのバックラッシ調整

今回の不具合の原因はここでした。フライス盤の台形ナットは一つの軸につき2つついており、その間隔を調整することでバックラッシを小さくすることが出来ます。この間隔が使用しているうちにずれていってしまったことが今回のガタツキの原因になったと考えられます。台形ナット

調整方法ですが、私も正しい方法がわかりません。ここでは私がとった方法を書きます。このフライス盤では調整用台形ナットがイモネジと六角穴付きボルトでそれぞれ対角に止められています。まずこの2種類のネジを緩め、台形ねじを通します。台形ねじを回しながら六角穴付きボルトを締めていき、台形ねじの回転が渋すぎず、バックラッシが大きすぎないようなところで止めます。イモネジを締めてナットを固定します。調整と確認を繰り返しながらちょうどいい位置を探します。

3.グリスの塗布、組み立て

部品をパーツクリーナなどで洗浄したあと、アリ溝、アリ、ジフなどにグリスを塗ります。ネット上の記事では金属-金属のグリスにはリチウムグリースがいいという情報も見られましたが、よくわからないので前回のメンテナンスで使ったという「シマノ プレミアムグリース」を使用しました。

グリスを塗った後は分解した手順と逆の手順で組み立てます。送りネジにはオイルを差し、ジフ調整ネジはハンドルを回しつつ渋すぎずゆるすぎずのちょうどいい圧がかかるように均等に締めます。ハンドルを止める袋ナットはラチェットレンチなどを駆使してしっかり締めます。

ステージやバイスの取り付け時はダイヤルゲージなどを駆使して可能な限り平行、垂直を出すよう取り付けます。

以上で今回行ったメンテナンスは終了です。作業時間は3時間程度で、Y軸の取り外し方法を思いつくまでの時間が長かったため、この記事読んでいただければ同様の作業をもっと短い時間でできるのではないでしょうか。ぜひ役立ててください。

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